麹づくり
 

一麹、二もと、三造りと言われ、麹造りは酒造りの中でも品質を左右する最も大事な行程。 酒を造る上で必要な酵素は約200種類ほどあると言われていますが、正確に解明されているのはその1割程度。 麹はその酵素を作る大事な役割を果たします。 最も一般的なのは米のデンプンをブドウ糖へ糖化させる酵素。 また、そのブドウ糖が清酒酵母の力でアルコール発酵するときの栄養源を与える酵素などがあります。 またオリゴ糖類を作り、酒の旨味成分を作るものも多数存在します。 その様々な酵素を上手に作ってやるのが麹造りと言うことになります。

大ざっぱに言って上記手順で約2日半ちょっと掛けて麹を造ります。 1日目は蒸したお米を『床』と呼ばれる台に布団掛けてじっとさせておきます。 2日目に箱状の容器に小分けして移して(盛り)、積み替えや仲仕事、仕舞仕事と呼ばれる温度を均一に保つ作業を概ね3時間ごとに繰り返し出麹を迎えるという作業です。
先ずは米を洗います。 小分けにして、秒単位の世界です。 横で杜氏がストップウォッチを片手に怖い顔で睨んでいるんです。
洗い終わった米は約1日水を切ってさらしておきます。
を蒸します・・・

秘密の花園っでなくて麹を造る麹室の入り口。 そとは寒くても室の中は真夏の温度!

盛り後の状態。 しばらくほって置いてから種麹(たねこうじ)と呼ばれる麹菌を撒きます。
種麹と呼ばれるもの。 カビですね。 この米の周りに付いた粉状の菌体をまくわけです。 まき方はヒ・ミ・ツ!まいた後は、また上の写真のように布団を被って寝て貰います。 約1日。 1日ぶっ続けで寝れるなんて羨ましー! 
温は状況次第で変えますが、この時は35度!
1日たったらいよいよ盛りと呼ばれる作業です。
うちの場合は上のような箱状の容器に約15Kgづつくらいを入れて積み重ねていきます。 ここからが温度操作の始まり、気が抜けません。
概ね、2〜3時間毎に積み替えたり、左写真の様に手を入れかき回したりと作業が1日半以上続きます。 麹が造る酵素にも色々あって、30度中盤が好きな酵素や30度後半から40度あたりが好きな酵素があり、この温度操作が難しい理由の一つです。 上のグラフの様な温度経過を辿ることになりますが、最高41〜42度位の温度を何時間経過させるかでもまた生まれる酵素の力が変わります。
作業をしていない時は温度計を突き刺して左写真の状態にしておきます。 上のグラフでも解るように、ぐっぐっっと温度がき始めたら、1時間に1度位温度が上がってしまいます。 上の箱と下の箱では温度も違って来るため、上下の箱の順番を替えてやる積み替えの作業も重要です。
使い込まれた温度経過を記録する黒板。 一応用は果たします。
部屋に入ってから約60〜70時間後にようやく暑ーい部屋から脱出! しばらく涼しいところで涼みます。

良い酵素の力を生み出すためには『つきはぜ』と言って、米の表面ではなく、米の芯に向かって麹カビの菌糸を食い込ませることが重要です。 その為に麹カビにとってはせっかくいい気持ちの温度なのにすくすく育つのに必要な水分を米の表面から少なくし、麹カビが必死に生きようとする気持ちを使って、それでも水分の残る米の中心へ向かわせるわけです。 いじめですね。 だから麹室は30〜35度位の温度があるにもかかわらず、除湿器をガンガン入れて湿度を下げるわけです。 麹室の中でぐっすりと寝ちゃうと喉がガラガラ何てことになってしまいます。 暖かいからと言って麹室では寝ないようにしましょう。

天幕
盗撮カメラでなくて、監視用のカメラ。 200m位離れた休憩室に送られています。

少の違いはあるものの、中・小規模蔵の多くが当社の様な体制で麹を造っています。 当社は箱麹法と言って、上でご紹介したような大きさの箱状の容器を使っていますが、蔵によっては蓋麹(ふたこうじ)法と言って、上の容器より更に小さい容器を使って造るところもあります。 そして、造る酒の種類によって、手の掛かる箱麹や蓋麹で麹を造ったり、上の写真にあるような天幕と呼ばれるある程度自動化された装置を盛り後の作業で利用して麹を造るわけです。 天幕を使うとご紹介した積み替えの作業が要らなくなります。 手入れの作業は必要です。 もう少し量産する蔵になると全自動の製麹機(せいぎくき)を導入し、完全自動化することも可能です。 全自動・半自動の製麹機とも複数のタイプがあります。 上でご紹介したとおり、完全手作業の麹造りは昼夜を問わずの過酷な労働条件となってしまうため、当社ではある程度省力化が可能な天幕と箱麹法の2本立で麹造りを行っています。 

 
ご意見・ご感想は・・・
© 2000 Musashino-Shuzo Co. All Rights Reserved.